月夜の翡翠と貴方
第三章
依頼屋、貴族、変化
知らなくていい。
貴方の目的も、
明るく笑う姿の裏にある、貴方の真っ暗な深緑も。
手紙の送り主だって。
知らなくていい。
知らなくていいの。
私と貴方は、互いを知りすぎてはいけない。
だから、だから。
...お願い。
どうか、私に隙を見せないで。
*
...昨日の私は、どうかしていたのだと思う。
感情に身を任せて、何処まで口走ってしまったのだろう。
正直、忘れてしまいたい。
ルトが、確かに優しかったのは覚えているけれど。
今の私には、恥ずかしいことこの上ない。
穴があったら、入ってしまいたいほどに。
しかし、ルトは昨日の夜の事をなにもいって来ないから。
なんだか落ち着かないような、それでいてほっとしたような。