月夜の翡翠と貴方
私の気持ちと、一緒に。
そうした変化に気づいたのは、ある夜の森の中で、野宿をしたときだった。
「よく笑うようになったな」
そう言って嬉しそうに笑った、ルトの顔。
そこでようやく気づいて、変な気分で戸惑った。
段々と、形を変えていく。
けれど、綺麗な形におさまらない。
そんな、変化の途中。
*
用事があるらしく、私達は街の中へ入った。
着いたのは、大勢の人で賑わう大きな町だった。
老若男女、様々な身分の人々が行き交う。
貴族らしき風貌の女、平民らしき子供、怪しげな雰囲気を漂わせる男。
建ち並ぶ店々は、高級そうな店から平民が集まる店まで、様々である。
このミューザという街は、どうやら商業に富んだ街らしかった。
「フード被れ」
そう言って、ルトが私の頭にフードを被せる。
「…この街は、賑わってるだけに色んな人間がいる。物騒だからな、お前は絶対悪目立ちするんだよ」
そう言ったルトを、フードから瞳を覗かせて見上げる。
少し前から目をそらせば、人にぶつかりそうになってしまった。