月夜の翡翠と貴方
「………なぜ、そう思うのですか」
青年の口調は、まるで確信しているようだった。
彼は、まるで私を馬鹿にするように、苦笑して。
「……だってさぁ、その頬の汚れ、わざとだろ?」
「!」
その言葉に、頬がかっと熱くなった。
泥を塗ったことを、知られている?
まさか、あのとき見られていたのだろうか。
だとしたら、とんだ辱めである。
「…な…何故……」
あぁ、もう。
先程から、私はうろたえてばかりだ。
このままでは、青年のペースに呑まれてしまう。
ここで負けては、いけないのに。
私の様子を楽しそうに見つめる青年は、私の足元を指差した。