月夜の翡翠と貴方
ミラゼは再びふふ、と楽しそうに笑うと、「あのね」と言った。
「この酒場にいる人間の一部は、ルトと同じ職よ。ちなみに私も」
どくん、どくん、と心臓が脈打つ。
ミラゼが、口を開く。
私がはじめて知る、『ルト』のこと。
「……私達はね、『依頼屋』をしているの。身分様々な人間から依頼を受けて、それを報酬と引き換えに実行する。それが、私達」
....依頼、屋。
目を見開いた私に、ミラゼが微かに笑った。
「……そんなかんじだけれど、どうかしら、ジェイドちゃん」
ルトの笑い声が聞こえる。
ひとつ頭をよぎった考えに、目を逸らしたくなった。