月夜の翡翠と貴方
そこは、微かにまだ、湿り気が残っている。
「…どーせ、せめてもの顔隠しってとこだろ」
…完全に、見透かされている。
お見通しということか。
楽観的な表情と外見によらず、どうやらだいぶ頭はいいようだ。
端正な顔の作りに、少し癖のある茶髪。
子供のような明るい表情をする反面、青年はどこか大人びた雰囲気を感じさせた。
「ってことで、フードとってよ」
全く、どういうことなのか知らないが。
「嫌です」
たとえ考えが見透かされようが、私の答えは同じ。
結局は、顔を見られなければいいだけの話である。