月夜の翡翠と貴方
隠し事、手紙の返事、ドレスアップ
「ルト、起きて。ルト」
時間は深夜。
あれからルトは、友人たちと飲みふけっていた。
しかしもともと酒に強くないのか、やがて飲めなくなり、吐き気を催したかと思えば、酒場の誰よりも早く爆睡してしまった。
おかげで、酒場の人々が次々と帰るなか、私はルトを起こす羽目になっている。
しかも、起こせたとしても、私一人でここから宿へ彼を運べるはずがない。
一緒に宿までルトを運ぼうか、と言ってくれた人もいたのだが、なんせその人もだいぶ酔いが回っているため、遠慮した。
そうこうしているうちに、酒場には私とルトだけになってしまった。
ミラゼは、私との話が終わるとすぐに、用事があると言って酒場から出て行ってしまった。
鍵はあとで自分でかけるから自由に帰ってと言われたが、ルトが起きない限りどうしようもない。
やはり、誰かに助けてもらったほうが良かっただろうか。
「ルト、ルト」
体を揺さぶるが、全く起きる気配がない。