月夜の翡翠と貴方
リロザは私を見ると、怪訝な顔をした。
「どうした、何故残って…」
言いかけて、ルトが寝ていることに気づいたらしい。
彼は熟睡しているルトを見て、静かに「やはりこいつは馬鹿だな」と言った。
苦笑いしていると、リロザは静かにこちらへ向かってきた。
そして、ルトを何度か起こすのに試みるが、起きないのがわかると、そのままルトを起こして自身の肩に担いだ。
「あ……………………」
ふたりにはあまり身長差がないためか、ちょうど良くルトがリロザの肩に寄りかかる。
もしかして、宿まで送ってくれるのだろうか。
「あの…………………」
「貴女が大の男を運ぶなんて、到底無理だろう。宿まで送る。道案内を頼めるか」
「あ………ありがとうございます」
助かった。
これでリロザが来てくれなければ、途方に暮れていた。
「……………ん…」
さすがに態勢を無理やり変えられたからか、ルトがうっすらと目を開ける。