月夜の翡翠と貴方
宿への道を思い出しながら、リロザと歩く。
未だルトはご快眠中だ。
「…貴女のその髪は、生まれ持ちか?」
大通りに出たのでフードを被ると、それを見たリロザが言った。
「あ……はい」
「珍しい色だな。美しいのに、隠してしまうのはもったいない」
リロザが、フードから覗かせた碧色の髪を見て、感嘆の声を出す。
...素直に、そう言ってくれているのは嬉しいけれど。
私は、苦笑いを浮かべた。
「人が多いところでは、隠さないと目立ってしまいますから。その…いい意味でなく」
「……そうか」
この髪は、私にとっては良くも悪くも隠しておきたいものだった。
この髪を、私は美しいとは思えない。
「しかし、ルトも大変だろうなぁ。貴女のような人と二人で旅するなんて」
はは、とリロザが笑う。