月夜の翡翠と貴方
「え……どういう意味ですか」
少しだけショックを受けると、リロザは「悪い意味でないよ」と、こちらを見て笑った。
「美しい女性がすぐ隣にいるというのに、ルトもいつまでも平常心ではいられないだろう。こいつも、貴女をそういう目で見ているのではないかな」
貴女ほど美しい女性はそうそういない、と言う。
「……………」
リロザの言葉に、私は下を向いた。
「……………………それは、ないと思います」
急に小さくなった私の声に、リロザは不思議そうにこちらを見下ろす。
「…何故だ?」
「ルトと私の間に、そういうものはありません。きっとこの先も…ずっと」
前に一度、ルトは私をそういう対象として、見ようと思えば見れる、と言った。
しかし、本当に恋愛するとなれば、別の話だとも言った。
今までルトがどのような恋愛をしてきたかは知らないが、彼はそういう素振りは一切見せない。
俯く私に、リロザは起きる気配がないルトを見て、「では」と言った。
「…………貴女は、ルトをどう思っているんだ?」
どきり、とした。