月夜の翡翠と貴方


「…………………」

目を背けたい答えが、脳裏にちらつく。

しかし、私はすぐにそれを振り払って、リロザを見上げ笑った。


「…なんとも思っていませんよ。あくまでルトとは友人です。お互い、そうとしか思ってません」


普段仏頂面のくせに、こういうときだけ私の顔は、いとも簡単に笑顔をつくる。

我ながら、器用なのか不器用なのかわからない。


「……………そうか」

そう言ったリロザの言葉で、この話は終わった。

それからは、他愛のない話をした。

リロザがルトや酒場のものとの思い出話をしたり、リロザの家自慢を聞いたり。

宿までの時間は、楽しいものになった。





「では、ありがとうございました」

「ああ」

宿に着き、宿の玄関でリロザと別れる。

「また会えたら、そのときはよろしく」

「はい」


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