月夜の翡翠と貴方
段々と意識と共にはっきりしてくると、それがジェイドの髪だとわかった。
かけられた毛布と、周りの景色で、ここが今夜にとった宿だとわかる。
ここまでの成り行きを思い出した。
...ああ、そうだ。
酒場で飲み過ぎて…
「………あーー」
眠ってしまったのだ。
なんて馬鹿なことをしたんだろう。
ジェイドひとりで俺をここまで運ぶなんて無理だろうから、酒場の誰かが運んでくれたんだろうけれど。
「あー…………」
ひとり、寝台の上で頭を抱える。
ジェイドは物凄く困ったはずだ。
初対面の人間ばかりの酒場に連れて来た俺が、酔って寝てどうする。
ジェイドは、宿の椅子に腰掛けて眠っていた。
「...なんでそんなとこで寝てんだよ…………」
窓を見ると、外は真っ暗だった。