月夜の翡翠と貴方


段々と意識と共にはっきりしてくると、それがジェイドの髪だとわかった。

かけられた毛布と、周りの景色で、ここが今夜にとった宿だとわかる。

ここまでの成り行きを思い出した。


...ああ、そうだ。

酒場で飲み過ぎて…

「………あーー」

眠ってしまったのだ。

なんて馬鹿なことをしたんだろう。

ジェイドひとりで俺をここまで運ぶなんて無理だろうから、酒場の誰かが運んでくれたんだろうけれど。


「あー…………」

ひとり、寝台の上で頭を抱える。

ジェイドは物凄く困ったはずだ。

初対面の人間ばかりの酒場に連れて来た俺が、酔って寝てどうする。

ジェイドは、宿の椅子に腰掛けて眠っていた。


「...なんでそんなとこで寝てんだよ…………」


窓を見ると、外は真っ暗だった。


< 254 / 710 >

この作品をシェア

pagetop