月夜の翡翠と貴方


寝台から降りて、彼女のそばへ行く。


「………………………」


ジェイドの顔を見て、俺は驚いた。

頬を見ると、泣いたあとがある。

微かに、白い頬に、雫が残っている。


...なんで、泣いてんの。


雫を、指ですくった。

...そういえば、俺が友人と近況を話して盛り上がっている時、ジェイドはミラゼと何か話をしていた。

ジェイドは、やけに深刻な顔をしていた気がする。

何か、ミラゼに言われたのだろうか。

ミラゼは時々、というかよく、きつい発言をするから。


「………………はぁ」


思わず溜息がでた。

わからない。

何もわからない。

ジェイドが一体何を考えているのか、さっぱりわからない。

窓のカーテンから漏れる月明かりが、ジェイドの碧色の髪を美しく照らしていた。


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