月夜の翡翠と貴方
じっと見ていると、俺の視線から逃れるように、ジェイドは宙を見た。
「…やっぱ、可愛いな」
あまり表情を変えないようにしながらも、ジェイドの顔はうっすらと赤みが増す。
今の可愛い、はドレス姿が、というよりは、ジェイドが、だったんだけど。
...と。
思って、はっとした。
何考えてんの、俺。
いらない感情。
振り払うと決めたのに。
はー、と溜息をつく。
自分に呆れながら、訝しげにこちらを見つめるジェイドを見た。
見て、最初に思う事を、思わず口にする。
「…………綺麗だな」
ジェイドの目が、見開かれる。
そして、驚いた顔をしたかと思えば、そのまま俯いてしまった。
「…………………」
あ。
言ってしまって、気づいた。
ジェイドは、自分に対する『綺麗』という言葉を好まない。