月夜の翡翠と貴方
「……………………」
「…ルト?」
.....本当にもう、本当に勘弁してくれ。
頼むから、これ以上俺を引っ張らないで欲しい。
何も言わず俯いた俺に、ジェイドは不安そうに声を出す。
「…ごめん。私、変なこと言った。気を悪くさせてたらごめん」
「…違うよ………………」
顔を上げ、かろうじていつもの笑みを作る。
「ごめん。なんでもない。なんつーか、ジェイドの気持ちに感動した」
ふざけて言うと、まあ、あながち間違ってはいないのだが、ジェイドは顔を赤くした。
「…それならいいけど。いつも素直じゃなくてごめん」
いつもの仏頂面に戻った彼女に、安心する。
「....もう、脱いでいいよ。体が冷える。あのー」
逃れるようにジェイドから目をそらし、店員を呼んだ。
試着室のカーテンが締まる。