月夜の翡翠と貴方
「十……九」
…あと、少し。
「八」
その言葉と同時に、やっと青年の前まで来たとき。
「七」
一際大きく、水が音を立てた。
……どうやら、運は私を味方をしてはくれないらしい。
「えっ…………」
視界が、揺れた。
「ろ……………え」
私の声に、青年の目が見開かれる。
石に、つまづいてしまった。
身体が、前のめりに傾いていく。
フードが、頭から肩へ落ちたのを感じた。
バチャッ…………
ガシャーン!
派手な音を立て、バケツが地面へ落ちる。