月夜の翡翠と貴方
ルトが申し訳なさそうに、リロザに謝っている。
「ごめんな。今回ばかりは…」
いいのか。
…いや、よくない。
「あの」
突然出した私の声に、視線が集まった。
「…ルト、受けて」
私の事は気にしないで、とは言えない。
私が言えることではないのは、わかっている。
「けどな…そりゃ、お前を守ろうとは思うけど、保証なんてないんだよ」
困った顔をしたルトを、真っ直ぐに見つめた。
「護身用にナイフか何かくれれば、自分の身は自分で守るよ。それぐらいは出来る」
私はルトに、言葉では伝えられない事を目で訴えた。
...私を、何だと思っているんだ。
平民でもなく、ましてや世間知らずな貴族令嬢でもない。