月夜の翡翠と貴方


ルトが、剣の刃先をわずかに動かした。

男が「ひっ…」と怯える。

「その首を切られたくなければ、吐け。当然お前らだけじゃないんだろ。首はどこにいる」

首。

組織において、最も上の者のことだ。

低くて、厳しい声色。

今の彼は、まるで普段の彼からは想像もつかない。


これが……『仕事』のときの、姿。


男を見下ろすルトの瞳は、冷酷で、まるで獣のようだった。














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