月夜の翡翠と貴方
私の言葉に、ミラゼは「そうね」、と呟いた。
「………ルトは……依頼屋としては、最高の人材だと思うわ」
月を眺めて目を細める、ミラゼを見つめた。
褒めているはずなのに、彼女の横顔はなんだか複雑そうで。
「…それは、能力的な意味で?」
尋ねると、ミラゼはふ、と笑った。
「…能力的な意味でも、性格的な意味でもね。普段はルト、凄く明るいでしょう。子供っぽくて…」
「…はい」
「けど……………」
そこで、あ、とミラゼが声を上げた。
「……? なんですか?」
んー、と意味深な笑みを浮かべるミラゼ。
「…またこーやって話すと、ルトに怒られちゃうかも、って思ってね」
……あ。
んふ、と笑うミラゼは、「でも、まぁ大丈夫かしら」と言った。
「これを聞かれる心配はないでしょうし。ね?」
「……え、あ」
どうしよう。
聞くべきなのか。
聞きたいような、聞きたくないような。
しかしミラゼは、私の返事を待たずに話を続けた。
「けど………あの子は仕事に関してはまるで別人のようになるわ」
………別人。
あの、深緑が頭に浮かぶ。