月夜の翡翠と貴方
ルトとミラゼが仕方なく、こちらへ戻ってきた。
後方からどんどん出てくる野蛮な風貌の男達に、リロザは開いた口が塞がらなくなっている。
何人…いや、十数人という人数の男が、店内に入り、私達を囲んだ。
どうやら、この店自体を占拠されていたらしい。
ルトが私の手を掴み、握りしめた。
そして、小声で言う。
「…お前は、急いでここから出ろ。馬車の中で待っとけ」
…仕方、ないとは思う。
ここで私は、もはや邪魔でしかないのだから。
男たちが、にやにやとした笑みで私を見てくる。
...それに私のような女は、彼らにとって格好の獲物なのだ。
わかった、という返事の代わりに、ルトの手を握り返した。
それと同時に、一気に男達が襲いかかってきた。
「………っ」
急いで、扉の方へ向かう。
逃げるのは得意な方だ。
道を阻む男達の脇をすり抜ける。
ミラゼが、私を避けてナイフを飛ばす。
後ろで、男の呻きが聞こえる。