月夜の翡翠と貴方


周りの男達は木箱に気づかず、ルトに襲いかかっている。

そして…私はその木箱を、手に、掴んだ。


「ジェイド、走れ!」


剣の打ち合う音のなかで、ルトの大きな声が確かに聞こえた。

「……………っ」

走れ。

私は息をいっぱいに吸い込んで、踏み出した。

へたり込むリロザの真横をすり抜け、店の奥へと走る。

たったひとつのクリセリカの実。

木箱を抱きしめ、全力で走った。












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