月夜の翡翠と貴方


訳が、気になる。

ふたりの真の関係。

お互いの基本的なことさえ知り得ていないというのに、ふたりの間にある雰囲気と、…妙な、壁。

全てが謎だったのだ。


幼馴染であるが故気になるし、それを隠れて知ることに罪悪感は伴う。

しかし、依頼の内容を知っても、何かをするつもりもない。

ミラゼは依頼の内容に目を通し始めると、ある一文で目を見開いた。


「…………!」


....あの子は、仕事に対して限りなく冷淡だ。

大抵常人なら躊躇うものも、すんなりとやってのける。

その過程に、情など全くない。

しかし………………


ミラゼは無言で紙を畳むと、上着のポケットに収めた。

そして、ふぅ、と息をつく。

....ルト。

何を考えているの。

どうしたの。

ジェイドとルトの間に流れる空気を思い出し、再度溜息をついた。


あなたは、そんなに馬鹿な子じゃなかったと思うのだけど。


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