月夜の翡翠と貴方
実際に碧色の髪は、すれ違う人々の好奇の視線を、真っ向に浴びていた。
…じろじろと無遠慮に見られるのは、好きではない。
慣れては、いるけれど。
過去に、この容姿のせいで見世物にされたことだってあるのだから。
…それでも、気分は悪くなる。
「………………」
自然と下を向いてしまうが、そうすると人々にぶつかりそうになってしまった。
…だから、嫌いなのだ。
この髪は。
「…………なぁ」
頭上から、声がした。
上を見ると、青年が横目にこちらを見ている。
「……なんでしょうか」
…彼の瞳は、何故か申し訳なさそうに揺れていた。