月夜の翡翠と貴方
「……わかりました。努力したいと思います。…それだけで、よろしいですか?」
「うん」
「ありがとうございます…!実は明日の夜、私とロディー様の婚約、結婚を祝って、オリザーヌの邸の裏にある建物で、夜会があるのです」
なんだか、どんどん話が進んでいくが、そんなに簡単に承諾して大丈夫なのか。
しかしルトは何も言わないので、私も文句は言えないし、言わない。
セルシアに結婚から逃げるなと言ったのは、私だ。
責任というのも、あるだろう。
「そこで、私はロディー様と踊らないといけなくて…けれど、私邸から逃げてばかりで、まだ、ロディー様とお会いできていないのです」
夜会…というと、舞踏会のようなものか。
景色等なら、私にも思い出せる。
「私はどうすれば?」
さすがに、部外者である私は、夜会に出ることなどできないだろう。
するとセルシアは、その考えに反したことを言い出した。
「私の専属の召し使いとして、夜会に出てはいただけませんか」
...しっかりとした、瞳。
どうやら、冗談ではないらしい。