月夜の翡翠と貴方
「ありがとうございます!本当に…!」
へこへこと頭を下げてくるセルシアに、私は小さく笑った。
「いいんです。お役に立てるかどうかは、わからないけれど」
「いいえ!いてくれるだけで、心強いわ!あ、名前を教えて下さらない!?歳はおいくつなのかしら」
そういえば、名乗っていなかったか。
先程から何度も、ルトが私の名を呼んでいたが。
「ジェイド…です。歳は十八」
「まぁ、ジェイドさんね!私、十七よ!よかった、歳が近くて…」
可愛らしい笑顔のセルシアは、とても年相応の少女だった。
「俺も忘れないでくれる?お嬢さん」
ルトが明るい笑顔を浮かべて、セルシアを呼ぶ。
「忘れてなんていませんわ!お名前を訊いても?」
ふふ、というセルシアの笑みに、ルトが「もちろん」と笑った。
「ルト・サナウェルです。歳はジェイドのひとつ上」
「そうなのですね…!ルトさんに、ジェイドさん…よろしくお願いしますわ!」
美しく桃色の髪を翻して、セルシアは貴婦人のごとく礼をする。