月夜の翡翠と貴方
お父様………?
なにをいっているの。
後ろで執事が、手を震わせていた。
母親も、震えていた。
恐ろしいナタナに、狂ってしまった父親に、皆が怯えていた。
ナタナは私を見ると、目を細めた。
『…いいだろう…哀れな娘よ。私が買ってやろう』
ただただ、目を見開くことしかできない。
『私が、飽きるまで愛でてやる。その碧色の髪を、撫でてやろう』
とうとう足に力が入らなくなって、私は膝をついた。
なに………?
どうして、お父様。
ナタナは父親を見て、愉快そうに笑う。
『あなたのその狂い方、私は嫌いじゃないよ。娘に免じて、命はとらないでやろう』
この言葉で、理解した。
私は、売られたのだ。
父親に。