月夜の翡翠と貴方
私は、首を横に振った。
「こちらこそ、聞いてくれてありがとう」
素直に礼を言うと、ルトは優しく私の頭を撫でた。
「いーえ。話してくれて嬉しいよ」
ルトの指が、碧の髪と絡まる。
気持ちよくて、眠くなりそうだ。
「…どう、思った……?」
頭を撫でられる感覚が心地よくて、目をつむりながら、気になっていたことを訊いた。
少し声が、震えてしまったかもしれない。
彼は、どう思っただろうか。
こんな、私を……
ルトの顔を見るのが怖くて、眠くなりかけたように目をつむって、ルトの言葉を待つ。
すると、ふぅ、と息つく声が聞こえた。
「…ごめん。すごい情けないんだけど、まだ頭の整理がついてない。今口開いたら、変なこといいそう」
…どうやら、何気に動揺しているらしい。
この男にしては、珍しい。