月夜の翡翠と貴方
「…うん。いいよ、ありがと」
あんなにぺらぺらと話されて、いきなり感想を訊かれても困るだろう。
きっと、何かルトのなかで結論をついたら、話してくれるのだろう。
下手なことは言えない、と思ってくれたのかもしれない。
「…でも、ひとつだけ」
ルトの、少し強い声がした。
頭を撫でる手が止まり、私は目を開く。
直ぐに、こちらを見つめる深緑と目が合う。
「……ジェイドが俺に、前言ったように…俺も、今のお前しか知らない」
「………」
強い、瞳。
引き込まれそうだった。
「…だから、お前が昔どんな人間だったとしても、俺のなかでお前はお前。俺が名付けた、ジェイドなんだよ」
ルトが、一生懸命言葉を探して言ってくれているのがわかる。
言いたい事が、なんとなくわかってきた。
けれど、私は「うん」としか言わない。