月夜の翡翠と貴方
ルトの言葉が、もっと聞きたい。
「えーと…だからさ、今のお前の話を聞いても、俺がお前に対する気持ちとか、態度とか、変わんないから。誤解するなよ」
「………………うん」
涙が出そう。
嬉しくて、愛しくて。
涙が出そうだ。
そんな私を見て、少しだけ困ったような顔をする、ルト。
「ありがとう……」
今度は素直に、口元に笑みが浮かぶ。
ルトは私から目を逸らすと、もう一度頭を撫でた。
「…寝るぞ」
わずかに照れたような声が、また私の口角を上げる。
面倒な奴隷で、ごめんなさい。
ルトが私を手放すときは、精一杯『惨め』になるから。
聞いてくれて、ありがとう。
隣で眠るルトは、一晩中手をつないでくれていた。
*
「今日は、ロディー様が邸へいらっしゃいます。くれぐれも、逃げ出すなんて事のないように」
ノワードが、そうセルシアに釘を刺す。