月夜の翡翠と貴方
返ってきた答えには、本当に驚いた。
十九だ、とルトはさらっと言ってのけたのだ。
…十九。
若いなとは思っていたが、そんなにとは。
ファナは?と訊かれたので、素直に十八だと答えると、彼は『本当に友人でもおかしくないな』と楽しそうに笑った。
こんなに歳の近い主人は、初めてである。
ますます、主人だと思えなくなってきた。
…いや、本人は思うなと言っているのだから、その必要はないのか。
しかし…やはり、腑に落ちない。
私は木の桶にお湯を汲んで、ザパンと髪にかけた。
…ルトは何故、あんな風に私を扱うのだろう。
そこで、脱衣所から老婆の声がした。
「お嬢ちゃん、服、置いとくからね」
「あ…ありがとうございます」
老婆が去ったのを音で確認し、浴室を出る。