月夜の翡翠と貴方


「…そうだね。セルシア様、一度、ロディー様ときちんとお話をされたほうが良いと思います」

「………………」

しかし、セルシアの表情は曇ったままだった。


「…わ、私…あの方とふたりでなんて、無理ですわ」


今度は、前向きに考えてはくれないらしい。

セルシアは瞳に涙を溜め、首を横に振った。

「…どーするかなぁ」

ルトが困った表情をする。

…このままでは、ふたりは結婚どころか、破局にさえなりかねない。

何か良い方法はないかと、悩んでいたところ。

ルトが、「そーだ」と何かを思いついたように言った。


「ジェイドが、ロディー様と話せばいいんじゃね?」


………………え?


「……え…えっと…ルト、頭大丈夫」

「全く問題ない。な、セルシア様。ジェイドがセルシア様の代わりに話すのは?」

いや、問題あるだろう。

セルシアは一瞬目を丸くしたあと、眉を寄せた。

「…そんな…できるのですか?ジェイドさんは、仮にも召し使いですのに」

「だから、セルシア様といちばん仲のいい召し使いにすればいいだろ。セルシア様の代わりに、伝えたいって」

「………………」


セルシアも、これにはさすがに賛成はしにくいようだ。


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