月夜の翡翠と貴方
私はひとつため息をつくと、「わかりました」と言った。
「しかし、何があっても知りませんよ」
一応言っておくと、セルシアは「いいえ」と唇を噛んでこちらを見つめた。
「情けなくも、頼っているのは私です。こちらが一切の責任を負いますわ」
…どうやら、もう無理らしい。
「………私の話がうまくいったら、セルシア様、きちんとロディー様とお話をされて下さいね」
「もちろんですわ」
…正直、うまくいく自信など全くないのだが。
するとそこで、ルトが「あ」と中庭の向こうを見つめて呟いた。
「…ロディー様、向こうにいるよ。多分セルシア様を、探しにきたんじゃない」
「え………」
セルシアが、困惑した表情をする。
するとルトが、ぱしっと彼女の手を掴んだ。
「…じゃあ、俺らはこの辺りで様子みとくから。ジェイド、いって来い」
言うが早いか、近くの物陰に隠れる。
「えっ……………」
向こうを見ると、段々とロディーがこちらへ近づいてくるのがわかった。