月夜の翡翠と貴方
…それにしても、あの男の猫かぶりは、どうにかならないのか。
いかにも傲慢そうな性格。
セルシアは愚か、ジェイドの手にも負えるかわからない。
しかし、とりあえず話は聞いてくれるようで、セルシアと安堵する。
ジェイドが促し、ふたりは近くにあったベンチへ腰掛けた。
「…セルシア様は、今とても戸惑っておられます」
話しはじめると、ロディーは木々を見つめながら、わかっていたかのように「ああ」と返事をする。
「私の口から申すことではないとわかっていますが………少し、急ぎすぎでは?」
彼女は、ロディーを真っ直ぐに見つめた。
彼はそれを横目に見ながら、「そうだな」と短く返した。
…認めてはいるが、別段自分がしたことを悔いてはいないようだ。
ジェイドが、必死に言葉を探しているのがわかる。
「…では、何故あのようなことを………?」
その問いに、ロディーは迷う素振りも見せず、強く言い放った。
「欲しいからだ」
……え。
欲しい……………?
ロディーは、さも当たり前だろうという態度である。