月夜の翡翠と貴方
簡潔すぎる答えに、さすがのジェイドも面食らっているようだった。
「ほ…しい…とは……」
「セルシアに決まっているだろう」
隣の少女の顔が真っ赤に染まる。
潔い答えが逆に紳士的だとか、そんな冗談は心のなかに留めておくとして。
「それは………つまり……?」
彼女は確認しておきたかったロディーの気持ちを、本人の口から聞けるよう促しているようだった。
ロディーは、そんなジェイドの意図を知ってか知らずか、やはり堂々とした口調で言葉を放った。
「彼女が好きだ。なんとしてでも妻に迎えたい」
もう、セルシアは倒れる寸前である。
肩に手を置いて支えながら、セルシアの表情が柔らかくなってきているのを見た。
「…では、そのお言葉を、そのままセルシア様にお伝えしたら、良いのでは?」
この場にいるロディー以外の全員が思っていることだが、彼は何故か少し頬を赤く染めた。
「…恥ずかしいだろう」
…………あーー………
思わず、ロディーに生暖かい視線を向けてしまった。
見るとジェイドも、俺と同じような目をしている。