月夜の翡翠と貴方


隣の少女だけが、顔を火照らせて口をぱくぱくと動かしていた。


「…ロディー様。そんな素晴らしいお気持ちを抱かれているのに、このままでは、セルシア様になにひとつ伝わりませんよ」


ジェイドの顔が、一気に興醒めしてきているのがわかる。

多分、俺も今同じような顔をしてる。


ロディーは、「それはそうだが…」と照れた顔をし始めた。

まさかの展開だ。

ロディーの性格が、思っていた以上に面倒臭かった。


すると、支えていたセルシアの肩が、ふるふると震え始めた。

「…?セル………」


ガサガサッ…と、音を立てて。


「ロディー様っ!!」


えっ…うわ。

セルシアが立ち上がり俺の横から離れて、向こうへ登場してしまった。


< 524 / 710 >

この作品をシェア

pagetop