月夜の翡翠と貴方
隣の少女だけが、顔を火照らせて口をぱくぱくと動かしていた。
「…ロディー様。そんな素晴らしいお気持ちを抱かれているのに、このままでは、セルシア様になにひとつ伝わりませんよ」
ジェイドの顔が、一気に興醒めしてきているのがわかる。
多分、俺も今同じような顔をしてる。
ロディーは、「それはそうだが…」と照れた顔をし始めた。
まさかの展開だ。
ロディーの性格が、思っていた以上に面倒臭かった。
すると、支えていたセルシアの肩が、ふるふると震え始めた。
「…?セル………」
ガサガサッ…と、音を立てて。
「ロディー様っ!!」
えっ…うわ。
セルシアが立ち上がり俺の横から離れて、向こうへ登場してしまった。