月夜の翡翠と貴方


この状況で、そのタイミングの登場はまずくないか。

しかし、そんなことを考える余裕すらないのか、セルシアは顔を赤く染めて叫んだ。


「ロディー様は、一体私のどこを気に入って下さったのですか!?」


ジェイドもロディーも、突然出てきたセルシアに、酷く驚いた顔をしている。

聞かれていたとわかったのか、ロディーは顔を赤く染めた。

セルシアは、そんなロディーを見て、ぎゅ、と手のひらを握りしめている。

………ああ。

今きっと、ふたりにとって大事なときなのだ、と思った。

ぱくぱくと口を動かしてこちらを見てくるジェイドに、静かにしろ、と声は出さずに口を動かす。

ジェイドは眉を下げて黙ると、ふたりを見つめた。


「…………二年前に、俺がディアフィーネを訪れたことを、知っているか」

セルシアと同じくらいに顔を赤く染めながら、ロディーが話し始める。

セルシアは、ふるふると首を横に振った。

すると、彼は「やはりか」と呟く。


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