月夜の翡翠と貴方


部屋へ入るよう促された私は、「時々面倒だと思うことはあります」と笑いながら言った。

「だろうな」とリロザと笑いあっていると、向こうからジトっとした視線を感じた。


「…お前ら仲良いよな」

「まぁお前よりはな」

「は!?」

このふたりは、一緒にいるとすぐに口喧嘩をはじめる。

ミラゼと三人で幼馴染と言っていたが、こんなにふたりが喧嘩ばかりしていては、ミラゼはさぞ疲れたことだろう。

「なにジェイド笑ってんの!」

「え?あ、ごめん」

無意識に。

「笑うのは良いことだろう」

「お前はなんでそうもジェイドばっかなんだよ」

このふたりを見ているのは楽しい。


しばらくリロザと話し、一時間程したあとに、部屋から出た。

『また会えると良いな』と言ってくれた彼に、私も心から『はい』と告げることができた。


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