月夜の翡翠と貴方
けれどルトは、そんな私達を見て、複雑そうな表情をしていた。
…ああ、ちゃんとわかってるよ、ルト。
その、表情の訳が。
*
もうすぐ朝、という時間帯に村を出発しようと言い出したのは、ルトだった。
レグート達のことを考えてのことらしい。
夜だと危ないし、昼間だとこちらの行動が丸わかり。
だから、これがいちばん良い時間帯だと。
この時間に村を出ることをセルシアとロディーに伝えると、ふたりはしっかりと朝早く起きて来てくれた。
危ないので邸までだが、見送ってくれるらしい。
「ほんっとーに、ありがとうございました!」
セルシアが、邸の前で深々と礼をしてくる。
慌てて頭を上げさせると、彼女は少し涙ぐんでいた。