月夜の翡翠と貴方


けれどルトは、そんな私達を見て、複雑そうな表情をしていた。


…ああ、ちゃんとわかってるよ、ルト。

その、表情の訳が。






もうすぐ朝、という時間帯に村を出発しようと言い出したのは、ルトだった。

レグート達のことを考えてのことらしい。

夜だと危ないし、昼間だとこちらの行動が丸わかり。

だから、これがいちばん良い時間帯だと。


この時間に村を出ることをセルシアとロディーに伝えると、ふたりはしっかりと朝早く起きて来てくれた。

危ないので邸までだが、見送ってくれるらしい。



「ほんっとーに、ありがとうございました!」

セルシアが、邸の前で深々と礼をしてくる。

慌てて頭を上げさせると、彼女は少し涙ぐんでいた。


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