月夜の翡翠と貴方
「…….....…」
ふと、思った。
…こんな風に出来るのも、あとどれくらいなのだろう、と。
目的があって何処かへ行っているのだから、確実に終わりは来る。
それがあとどれくらいなのか、私にはわからないけれど。
「レグート、結局来なかったな」
てっきりなんかしてくるかと思った、と言いながら、ルトはテントから少し外へ顔を出して、辺りを見回した。
「…そう、だね…」
レグートが、今更引き下がるとは思えない。
私達が村を出たことなど、すぐに嗅ぎつけていそうなものを。
「…明日は、気をつけとかないとな」
「…うん」
そう言うと、ルトは寝る態勢へと体を動かした。
…レグートの目的も、影で彼らを動かしている人間も。
リズパナリに、なんらかの恨みがあるのだろう。
動き出したときには、当主はおらず、残ったのは奴隷となった私だけ。