月夜の翡翠と貴方
脚を蹴られ、俺は地面に倒れこんだ。
「…………そんなに、あの娘が大事かい?」
睨むと、レグートは鼻で笑うように俺を見下ろしている。
俺はよた、と立ち上がると、息をはぁ、と吐いた。
「…大事だよ。『友人』なんだから」
薄く笑うと、レグートは満足そうに笑った。
「…友人どのは、なかなか腕が立つな」
「…そーゆー職業柄なんでね」
これも、仕事のうちだ、と。
そう思う心の端で、違う理由が見え隠れする。
けれどもう、それさえどうでも良かった。
ぐちゃぐちゃにして、見なかったことにする。
どうせもう、あと少しだけなんだから…………
「…ジェイドと名付けたのは、あなたか?」
「そうだけど」
何をそんなに、俺と話すことがあるのか。
周りの男達がジェイドを追いかけようとしないのは、長らしきレグートの命令がないからだろうか。