月夜の翡翠と貴方
「…今も、あなたはその名を相応しいと言えるか?」
「ああ」
悪いが、即答だ。
正直名付けた当時は、自分のセンスが良すぎるんじゃないかと軽く浮かれた程である。
呼び慣れた名は、もう変える気もない。
「俺にとってあいつは、マリアじゃない。ジェイドだ」
俺が会ってからの、ファナと、ジェイド。
彼女が俺を『今の俺しか信じない』ように、俺も今の彼女しか信じない。
「…素晴らしい、友情だね」
「だろ」
ギン!
いきなり剣が向かってきた。
他の男達も、拳を勢いよく振り上げてくる。
「…俺を殺してから、ジェイドを追いかけるつもりか?」
「まぁね。あなたは中途半端に生かしておくと、あとあと面倒そうだ」
「は、その通りだよ」
最も。
「殺されるつもりも、ないけどさ」
ガッ………
鈍い音を立てて、俺はレグートの顎を蹴った。