月夜の翡翠と貴方


…ルトの依頼が完了したら、大人しくついていくよ。

彼のおかげで、私はその決心がついたのだから。


「…そちらには悪いけど…私はまだ、行けない。ルトから離れられない」


…本当は、離れなくない、だろうけれど。

そんなことができないのは、わかっている。


だから。

月明かりが、髪を照らす。

翡翠が、浮かび上がる。

少しだけ、笑って。


「…今、私はジェイドだから」


ルトの、ものだから。




「………そうか…それが、貴女の答えか」

レグートは目を細め、口角を上げた。

そして、低い声で。


「…しかし、それではこちらが困るのだよ」


ガギン…!

レグートの剣と、ルトの剣がぶつかった。

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