月夜の翡翠と貴方


「……………っ」

ルトは私を抱き上げると、崖の下に掘られて作られたらしい岸辺に、私を投げ出した。

水を吸った服が、重たい。

膝をついて起き上がると、ゲホゲホ、と咳き込む。

すぐにルトも、岸に上がった。

「はぁ、はっ………げほっ」

ルトが、苦しそうに咳き込む。


水の流れが、そんなに急でなくてよかった。

朦朧としていた意識が戻り、辺りを見回す。

この岸辺は、崖のくぼみを掘って出来たらしかった。

奥に、洞穴のような空間が出来ている。

膝は濡れた地面で泥だらけになっていた。


「…ルト………」

隣で、息を荒くしているルトを見る。

「…運が良かったな」

ルトはこちらを見ると、はは、と力なく笑った。

…生きていた。

私もルトも、ちゃんと生きている。


「ありがと…………けほっ」

げほ、と咳が出る。

ルトは「無理に喋るな」と苦笑いをした。


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