月夜の翡翠と貴方
「そっか」と返事が聞こえたあと、しばらく沈黙が続いた。
「……………なぁ」
髪の水滴を絞っていると、ルトが心なしか沈んだ目で見てきた。
「なに?」
返事をすると、ルトはふ、と微笑んだ。
「…ジェイドは、どこまでわかってる?」
…前に私が、私のことをどこまでわかっているか、と聞いたときのように。
目を見開いた私に、ルトは手を伸ばした。
手のひらが、頬に触れる。
「…ど…こまで…って…?」
「俺の目的とか。色々」
目的。
依頼の内容、と受け取っていいのだろうか。
私は戸惑いながら、言葉を返す。
「…訊かないほうが、いいんでしょう?」
だから訊かないのに、という気持ちを込めて。