月夜の翡翠と貴方
「…俺といたって、たぶんロクなことないよ?」
「いっ…いいの!」
何故ルトが、こんなこと言うのかわからない。
わかんない、けど。
「私は……ルトがいれば、それでいいの」
目の見開くルトに、告げる。
言ってはいけないのに。
言わないと、決めていたのに。
「ルトが私を手放さない限り、私はルトについてく。どこにだって……ついて、いくよ」
だって、そうでしょう。
私は、ルトのもので。
私は…
「………離れたくないなんて、言わないから」
どうか。
ルトが、私を捨てるまで。
見上げると、ルトは苦しそうに、眉を寄せた。
そして、もう一度私に手を伸ばして…
強く強く、私を抱きしめた。