月夜の翡翠と貴方
第五章
綺麗、手、最後の一瞬まで
出会いが突然だったように、
別れもきっと必然であり、
悲しいくらいに、突然。
どうか、どうか。
この旅路の終わりまで。
最後の一瞬まで。
その笑顔で、
貴方がくれた名前を呼んで。
*
気づけば、朝になっていた。
洞穴を照らしていた月明かりが、太陽の光になっている。
ルトに抱きしめられたまま、ふたりして寝てしまったらしい。
見上げると、綺麗な寝顔が見える。
…疲れているんだろう。
態勢が態勢なだけに、私が動くと起こしてしまいそうだ。