月夜の翡翠と貴方


…ルトにこの名前をもらってから、何度呼ばれただろうか。

きっともう、数えきれないくらい。


ルトは立ち上がり、私の手を掴むと、「テント買いに行こう」と言った。

「破いちゃったし、今日は多分野宿だし」

向こうでテントを売ってる店を見つけた、と言って、私の手を引っ張る。


ルトの笑顔が、目に映る。


狂おしいほどの愛しさを、胸にしまいこんで。

私は、笑った。






群青がいい、という私の希望を快く受け取ってくれたルトは、前のテントに近い色を買ってくれた。


「落ち着くの」


テントのなかで、差し込む月明かりを見つめる。

新しく買ったものは、前のものより少し大きい。

肩は相変わらずぶつかるが、少し余裕ができた。

「俺も、この色がいちばん見慣れてるかな」

寝そべったルトが、座っている私に笑う。


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