月夜の翡翠と貴方
見えたのは、愛しい主人の姿ではなく。
逃がさないというように私を囲う、鉄の柵だった。
*
私室らしき豪華な部屋に私を入れると、マテンは乱暴にフードをとった。
そして、広がった碧色の髪を見て、感嘆の声を漏らす。
「…美しい…!なんて美しい髪だ…!」
口元の笑みをつり上げ、私を舐めるように見つめる。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
こんなふうに見られることなんて、慣れているはずなのに。
見世物だって、なんだってしてきたのに。
ずっと、ずっと、嫌悪が、止まらない。
マテンは私の頭の先からつま先まで見つめると、やがて興奮したように熱のこもった息を吐いた。
「まさに、私のコレクションに相応しい」
…コレクション…?
眉をひそめた私など構うことなく、素晴らしい、素晴らしい、と繰り返す。