月夜の翡翠と貴方


見えたのは、愛しい主人の姿ではなく。

逃がさないというように私を囲う、鉄の柵だった。







私室らしき豪華な部屋に私を入れると、マテンは乱暴にフードをとった。

そして、広がった碧色の髪を見て、感嘆の声を漏らす。


「…美しい…!なんて美しい髪だ…!」


口元の笑みをつり上げ、私を舐めるように見つめる。


気持ち悪い。

気持ち悪い。


こんなふうに見られることなんて、慣れているはずなのに。

見世物だって、なんだってしてきたのに。

ずっと、ずっと、嫌悪が、止まらない。


マテンは私の頭の先からつま先まで見つめると、やがて興奮したように熱のこもった息を吐いた。


「まさに、私のコレクションに相応しい」


…コレクション…?

眉をひそめた私など構うことなく、素晴らしい、素晴らしい、と繰り返す。


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