月夜の翡翠と貴方


「…地下に閉じ込めておけ」


低い声で発せられたその命令と共に、男達が私の腕を乱暴に掴む。

「…ああ、大事なコレクションとなるものだから、あまり乱暴に扱わないでくれよ」

気味の悪い目で私を見て、マテンは意味深に微笑む。

男達はすぐに私を薄暗い地下へと連れて行くと、大きな檻のなかに私を放り投げた。


ドサッ………

「…………っ」

打ちつけられた身体が痛い。

眉を寄せて男達の方を見ると、哀れんだ、けれど愉快そうな笑みでこちらを見ている。


そして、檻の扉にガチャン、と鍵をかけた。



「………………」


男達が去っていくのを、静かに見つめる。

完全に地下への扉が閉まったことを確認し、その場にへたりこんだ。


「…………はっ…」


息がうまくできない。

はあ、はあ、と懸命に呼吸をする。

じわじわと、瞳に涙が浮かんでくる。

嫌なのに。

覚悟していたことなのに。


< 585 / 710 >

この作品をシェア

pagetop