月夜の翡翠と貴方
「コレクション…とは…?」
話してくれるかわからないが、弱々しくマテンを見つめる。
マテンは私の抗う気がない態度に気を良くしたのか、ニヤ、と笑んだ。
「…今までのコレクションでは、飽きてしまったのだ。だから、今度はもっと美しい…絵画や宝石さえ霞んでしまうような、妖艶な美しさが欲しくてね」
そんな美しさを持っているのは、生身の人間しかいないだろう?とマテンが怪しく笑う。
まさか…まさか。
「さすがに誘拐などしたら、カナイリー家の名に傷がつくからね…まずは手始めに、奴隷をコレクションにしようかと思ってね。卑しい奴隷など好きではないが、仕方ないだろう?」
信じられない。
生身の人間を、コレクションにしようなんて…
「だから、シズどのに頼んだのだよ。この私が奴隷屋に出向くなど、とんだ辱めだからね。彼はどんな依頼も過不足なくこなしてくれると聞いたが…噂は本当だったようだ」
私の姿を見て、マテンが気持ちの悪い笑みを浮かべた。