月夜の翡翠と貴方
頭の上に、手が置かれる。
優しく撫でるようなその感覚は、私が愛しいと思う感覚とは少し違った。
手のひらも。
大きさも、形も。
全てが違う。
私の望むものじゃ…ない。
「…ご主人様…と呼びなさい」
興奮を隠しきれない声色が、私を震わせた。
口を開こうとして、けれど開けることができない。
…その、言葉は。
忠誠を誓うもので。
わずかな躊躇いが気づかれてしまったのか。
マテンは、頭を撫でるその手で、私の髪を乱暴に掴んだ。
「!………っ」
痛みに顔を歪める。
強引に上を向かされ、見えたのは狂気的な笑みを浮かべたマテンだった。